年の半分をゆきで覆う、ある白い村の話。
「今年も盛大に燃えてるよ。この日だけは少し暖かくなるな」
この村には一本の神木があり、毎年同じ日に神木を炎で囲むという儀式がある。
この儀式のことをこの村では『アーカ』という。
娘は、何故毎年そんなことをするのか疑問に思っていた。
「ねぇ、チチ。何故毎年アーカする」
「あれは神木だろ。毎年あの木には神様が降りてきてくださる。でも、目印がないと場所が分からないだろ。だからアーカをやるんだ」
「ふーん」
「ねぇ、ハハ。何故毎年アーカする」
「あの神木の実を食べたことあるよね。あの神木は、この季節に一度暖めてやらないと実が成らない。だからアーカをやるんだよ」
「ふーん」
「ねぇ、アニ。何故毎年アーカする」
「ん?そんなこと知らないよ。オサにきいたら。オサが始めたって言ってたよ」
「ふーん」
「ねぇ、オサ。何故毎年アーカする」
「うん、そうだねー。うん、あいつが神木の下に眠っていてな。うん、あいつはこの土地の生まれにしては寒いのが苦手やった。うん、だから生まれた日ぐらいは、母の中にいたころのように温かくしてやろうと思ってな」
「ふーん、それが一番好き」
アーカのひ
いろんな人の想いをこめたひ
それはアーカのひ
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