2013年3月2日土曜日

イースターエッグ


友人などから、三つの単語ももらい作った、文章です。


今回の【お題目】

「イースターエッグ」
「ミンミン蝉」
「携帯電話」


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「なにが路子よ!なにが自分の信じる路を歩んで欲しいよ!」

路子はそう叫びながら大広間からでていく。

「待ってください、お嬢様」
 
トメも路子の後を追うが、歳で足が弱いトメは路子に追いつけない。
トメが路子に追い付いたときには、路子は崖の上に立っていた。

「危険です、お嬢様。どうかお戻りください」

「ジョンと一緒になれないなら、生きていてもしかたがないわ。何故ジョンじゃいけないの?彼のおかげでみんなイエス様の教えを知ることができたじゃない」

「ジョンは立派な宣教師です。ですがお嬢様には許婚が…、ご主人様の気持ちも理解してあげてください」

目を合わしたまま、時間が止まったように動かない二人。

「…わかったわ、トメ。ところで今日は何の日か知ってる?」

「…復活際、イースターですね」

「この前、ジョンが教えてくれたわ。イースターエッグの卵にはね、墓と、そこから抜け出すことによって復活する命という意味があるそうよ」

突風が吹いたのはその時だった。
トメの視界から路子の姿が消え、風に流された桜の花びらが舞い散る。


「お嬢様ー」


「すぐに助けを呼べば絶対に助かるはず、絶対に死なせてはならない」

トメは自分に言い聞かせるように口にしながら、崖に急いで近付く。
トメは近付きながら、救急隊を呼ぶためだろう、携帯電話をだして電話をかけていた。

風のせいなのか、一度死んで復活し、ジョンと結ばれようとしたのか、どちらかは解らない。どちらであってもトメには後悔しか残らなかった。



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「オギャー、オギャー」

外で蝉がミンミンと鳴くなか、家の中でも新しい鳴き声が一つ加わった。


「良かったですね、お嬢様」

「なんとか無事に産めたみたい」

「あっ、忘れてました。旦那様に知らせないと」

トメはそういうと、走って部屋を出て、電話をかけにいく。

「トメったら、自分が産んだように喜んでるわね」

トメが部屋に戻ってくる。そして改めて赤ちゃんを見る。

「…うっ、うっ」

「どうしたのトメ、何急に泣いているの」

「すみません、ホントに良かったなと思いまして。過去のことを思うと…」

「そうね、いろいろあったね。 でも、今はホント幸せよ。一番好きな人と一緒になれて、その人の子を産めて」
 
「そうだ、トメ。この子の名前を考えたの この子には自分の信じる路を歩んで欲しい 路子にするわ」



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